宋詞

望江南·江南月

Wàng Jiāng Nán · Jiāng Nán Yuè

王琪

Wáng Qí

Jiāng nán yuè, qīng yè mǎn xī lóu.

江南月,清夜满西楼。

Yún luò kāi shí bīng tǔ jiàn, làng huā shēn chù yù chén gōu.

云落开时冰吐鉴,浪花深处玉沉钩。

Yuán quē jǐ shí xiū.

圆缺几时休。

Xīng hàn jiǒng, fēng lù rù xīn qiū.

星汉迥,风露入新秋。

Dān guì bù zhī yáo luò hèn, sù é yīng xìn bié lí chóu.

丹桂不知摇落恨,素娥应信别离愁。

Tiān shàng gòng yōu yōu.

天上共悠悠。


翻訳

江南の月は、澄んだ夜に西楼を一面に照らしている。 雲が開くと、満月は氷の鏡を吐き出すように現れ、波の奥では、三日月が玉の鉤のように水中へ沈んでいる。月の満ち欠けは、いつになれば止むのだろうか。 銀河ははるか遠く、風と露には新しい秋の気配が宿る。月中の丹桂は、散りゆく恨みを知らない。けれど嫦娥なら、別れの愁いをきっと知っているはずである。天上にもまた、尽きることのない思いが広がっている。

解説

この詞は月を詠んでいるが、単なる月景色の描写ではない。月の満ち欠け、雲間の光、水面に沈む影を通して、人間の別離と聚散の悲しみを映し出している。冒頭の「江南月,清夜満西楼」は、澄んだ夜と楼上の月光を描きながら、すでに静かな孤独を含んでいる。「冰吐鑑」「玉沉鉤」は、満月と欠けた月を対にして描く巧みな表現で、月の美しさと無常感が同時に示される。 「円缺幾時休」によって、詞は風景から感慨へ移る。下片では銀河の遠さ、風露の秋気、月中の桂、嫦娥の伝説が重なり、離別の情がさらに深くなる。桂は凋落の恨みを知らないかもしれないが、孤独な嫦娥なら別離の愁いを知っているはずだ、という発想が繊細である。結句の「天上共悠悠」は、人間の愁いを天上にまで広げ、個人的な感傷を普遍的な情へと高めている。

作者紹介

王琪、字は君玉。北宋の官僚・詞人で、華陽の人、のち舒州に移った。官僚文学の家に生まれ、進士に及第し、館閣や礼部などに仕えた。現存する詞は多くないが、清雅で整った作風をもち、月、江南、秋思などの景物を通して離愁や人生の無常を表すことに長けている。《望江南·江南月》は、江南の月色を描きながら、人間の聚散と別れの悲しみへと情を広げた代表的な作品である。