元曲
水仙子·西湖
Shuǐ xiān zǐ · Xī hú
Chūn fēng jiāo mǎ Wǔlíng ér, nuǎn rì Xī hú sān yuè shí.
Guǎn xián chù shuǐ yīng huā shì, bù zhī yīn bú dào cǐ.
Yí gē yí jiǔ yí shī.
Shān guò yǔ pín méi dài, liǔ tuō yān duī bìn sī,
Kě xǐ shā shuì zú de Xī Shī.
翻訳
春風の中、五陵の若者たちが誇らしげに馬を走らせ、三月の暖かな日ざしが西湖を照らしている。管弦の音は水面に触れ、鶯と花のにぎわいは春の市のようである。この趣を知らぬ者はここへは来ない。ここは歌にも酒にも詩にもふさわしい。雨の後の山は黛の眉をひそめたようで、煙る柳は鬢の糸を垂らすようだ。まことに、よく眠って目覚めた西施のように愛らしい西湖である。
解説
この小令は西湖の春景を描くが、単なる風景描写ではない。春風、驕馬、暖日、管弦、鶯、花が重なり、西湖は音と色と人の気配に満ちた遊賞の空間となる。雨後の山を眉に、煙る柳を鬢の髪に見立て、最後に「眠り足りた西施」と結ぶことで、西湖の美は柔らかく艶やかな女性美へと変化する。「宜歌宜酒宜詩」は、この場所の核心である。功名や世俗から離れ、歌・酒・詩が自然に生まれる場所として西湖が捉えられている。
作者紹介
馬致遠は元代を代表する雑劇作家・散曲作家で、号は東籬。関漢卿、白朴、鄭光祖とともに「元曲四大家」と称される。雑劇では『漢宮秋』が著名で、散曲では旅愁、懐古、世を嘆く心、隠逸への思いを多く詠んだ。平明で流麗な言葉の中に、深い寂寥と達観を宿す作風で知られる。