元曲
十二月过尧民歌·别情
王实甫
自别后遥山隐隐,
更那堪远水粼粼。
见杨柳飞绵滚滚,
对桃花醉脸醺醺。
透内阁香风阵阵,
掩重门暮雨纷纷。
怕黄昏忽地又黄昏,
不销魂怎地不销魂。
新啼痕压旧啼痕,
断肠人忆断肠人。
今春香肌瘦几分?
缕带宽三寸。
翻訳
別れてから、遠い山はかすかに霞み、さらに遠い水のきらめきまでもが耐えがたい。柳絮は舞い乱れ、桃の花を前にした顔は酒に酔ったように赤らむ。奥の部屋からは香りの風が漂い、重なる門は閉ざされ、夕暮れの雨がしきりに降る。黄昏を恐れているのに、また突然黄昏が来る。魂を奪われずにいられようか。新しい涙の跡が古い涙の跡に重なり、断腸の人が断腸の人を思う。今年の春、どれほど痩せたのだろう。帯は三寸も緩くなってしまった。
解説
この曲は、別離後の相思を閨情として描いた名作である。「隠隠」「粼粼」「滾滾」「醺醺」「陣陣」「紛紛」という畳語が連なり、景物の動きと心情の深まりを同時に表している。遠山、遠水、柳絮、桃花、香風、暮雨は、すべて恋しさを呼び起こすものとして働く。後半の「黄昏を恐れるのにまた黄昏が来る」という感覚は、相思の中で時間そのものが苦しみになることを示す。結びの「帯が三寸ゆるむ」は、心の傷みを身体の変化として示す、きわめて印象的な表現である。