元曲
天净沙·秋思
马致远
枯藤老树昏鸦,
小桥流水人家,
古道西风瘦马。
夕阳西下,
断肠人在天涯。
翻訳
枯れた蔓が老木にからみ、夕暮れの烏がそこにとまる。小橋の下には水が流れ、そのそばに人家がある。古い道には西風が吹き、痩せた馬が歩いている。夕陽は西へ沈み、断腸の旅人はなお天涯にいる。
解説
「天浄沙・秋思」は、元曲小令の代表作とされる。ほとんど名詞的な景物だけで構成されながら、深い旅愁を生み出している。第一句の枯藤、老樹、昏鴉は荒涼を示し、第二句の小橋、流水、人家は一瞬温かい生活の気配を見せる。しかしその人家は旅人のものではないため、かえって孤独を強める。第三句の古道、西風、瘦馬は再び旅の苦しさへ戻る。「夕陽西下」で一日の終わりが来るが、旅人の帰る場所はまだない。最後に「断腸人在天涯」と主体が現れる時、すでにすべての景物がその悲しみを準備している。
作者紹介
馬致遠は元代の著名な雑劇作家・散曲作家で、「元曲四大家」の一人。「天浄沙・秋思」は彼の代表的な小令であり、旅愁と秋思を極めて簡潔に表した名篇である。