元曲
寿阳曲·远浦帆归
马致远
夕阳下,
酒旆闲,
两三航未曾着岸。
落花水香茅舍晚,
断桥头卖鱼人散。
翻訳
夕陽が沈み、酒屋の旗は静かに垂れている。二、三艘の船はまだ岸に着いていない。落花が水に香りを添え、茅屋は夕暮れに包まれる。壊れた橋のほとりでは、魚売りの人々もすでに散ってしまった。
解説
「遠浦帆帰」は、江村の夕暮れを描く静かな小令である。感情を直接語らず、風景の配置によって暮れ方の閑寂を感じさせる。「夕陽下,酒旆閑」の「閑」が全体の調子を決める。二、三艘の船はまだ岸に着かず、動きはあるが急がない。「落花水香」は、落花と水と茅屋の夕暮れを一つに結ぶ美しい表現である。最後に魚売りが散った断橋を置くことで、一日の営みが終わった後の静けさが広がる。馬致遠らしい淡く清い画面である。
作者紹介
馬致遠は元代の代表的な雑劇作家・散曲作家。簡潔な言葉で旅愁、隠逸、夕景を深く描くことに優れた。