元曲

小桃红 · 江岸水灯

Xiǎo táo hóng · Jiāng àn shuǐ dēng

盍西村

Hé Xīcūn

Wàn jiā dēng huǒ nào chūn qiáo,

万家灯火闹春桥,

shí lǐ guāng xiāng zhào.

十里光相照。

Wǔ fèng xiáng luán shì jué miào.

舞凤翔鸾势绝妙。

Kě lián xiāo,

可怜宵,

bō jiān yǒng chū Pénglái dǎo.

波间涌出蓬莱岛。

Xiāng yān luàn piāo,

香烟乱飘,

shēng gē xuān nào,

笙歌喧闹,

fēi shàng yù lóu yāo.

飞上玉楼腰。


翻訳

幾万もの家の灯火が、春の橋をにぎやかに照らし、十里にわたる光が互いに映り合っている。舞う鳳凰、翔ける鸞鳥の姿は、まことに絶妙である。なんと愛すべき夜だろう。波の間から、蓬莱の仙島が湧き出たかのようだ。香の煙は乱れ漂い、笙の音と歌声はにぎやかに響き、それらは玉の楼の半ばまで飛び上がっていく。

解説

この曲は、元宵の夜に江岸で水灯を眺める盛景を描いた作品である。『小桃紅・臨川八景』の一首であり、静かな山水ではなく、都市の祭りのにぎわいを描いている。 「万家灯火鬧春橋,十里光相照」は、冒頭から大きな場面を開く。万家の灯火は数の多さを示し、十里の光は空間の広がりを示す。「鬧」という字によって、灯火はただ明るいだけではなく、橋の周辺を祭りの熱気で満たしている。 「舞鳳翔鸞勢絶妙」は、灯籠や舞隊の華やかな動きを表す。鳳凰や鸞鳥は瑞祥と華麗さを象徴する鳥であり、元宵の灯会の豪華さを引き立てている。 「波間湧出蓬莱島」は、この曲の中心的な想像である。水上の灯火や灯船が波に映り、まるで蓬莱の仙島が水中から現れたように見える。現実の祭りの景色が、一瞬にして仙境へと変わる。 「香煙乱飄,笙歌喧鬧」では、視覚だけでなく、香りと音も加わる。香の煙、笙の音、歌声が入り混じり、祭りの空間を立体的にしている。 最後の「飛上玉楼腰」は、灯火、香煙、音楽が上へ上へと立ちのぼる感覚を表す。水面から楼閣まで、都市全体が元宵の気配に包まれている。 この曲の魅力は、短い中に非常に多くの感覚を詰め込んでいる点にある。光、水、音、香り、人のにぎわいが一つになり、江南の元宵夜を明るく夢のように描き出している。

作者紹介

盍西村は元代の散曲家で、生平は詳しく分かっていない。一般には盱眙の人とされる。写景の小令にすぐれ、都市、水郷、節令、山水の風景を清新自然な言葉で描いた。代表作に『小桃紅・臨川八景』があり、臨川のさまざまな景色を八首の小令で詠んでいる。明代の朱権は『太和正音譜』で、その詞を「清風爽籟の如し」と評した。