元曲
小桃红 · 采莲女(二)
杨果
碧湖湖上采芙蓉,
人影随波动。
凉露沾衣翠绡重,
月明中,
画船不载凌波梦。
都来一段,
红幢翠盖,
香尽满城风。
翻訳
碧い湖の上で、采蓮の娘が蓮の花を摘んでいる。その人影は水波に従って揺れ動く。涼しい露が衣を濡らし、翠の薄絹は重くなる。明るい月の中で、美しい船は、波を渡る夢を載せて行くことができない。すべては一幅の景色となる。紅い蓮は幢のようで、翠の葉は蓋のようであり、香りは風に乗って、町いっぱいに広がっていく。
解説
この曲は、月夜の湖で蓮を採る娘の姿を描いた作品である。前の一首が女性の美貌を直接的に描いていたのに対し、この一首は湖、月、露、船、蓮の香りを通して、より夢幻的な雰囲気を作っている。 「碧湖湖上采芙蓉」は、碧い湖と蓮を採る女性を一度に示す。「芙蓉」は蓮の花であると同時に、美人を連想させる語でもある。花と人が自然に重なっている。 「人影随波動」は、非常に美しい描写である。采蓮女の姿は、水面に映り、波に従って揺れる。人そのものよりも、水に揺れる影を描くことで、彼女の美しさはより柔らかく、はかないものになる。 「涼露沾衣翠綃重」は、夜の冷たさを感じさせる。露が薄い衣を濡らし、軽いはずの翠の絹が重くなる。ここには、視覚だけでなく触覚もある。 「画船不載凌波夢」は、この曲の中心である。「凌波」は水の上を歩む神女を思わせる言葉で、現実の采蓮女を夢のような存在に変えている。月明かりの中の画船は美しいが、その夢を本当に載せて去ることはできない。 結びでは、蓮の花と葉が「紅幢翠蓋」として描かれる。赤い花は幢のように、緑の葉は蓋のように立ち、香りは風に乗って町全体に満ちる。景色は一気に華やかに広がる。 この作品の魅力は、采蓮女を直接描きすぎず、湖上の光、影、香り、露を通して感じさせるところにある。清らかで、やや夢のような余韻を持つ一曲である。
作者紹介
楊果は金末元初の文学者・散曲家で、字は正卿、号は西庵。祁州蒲陰の人。金代に進士となり、元代にも仕え、参知政事に至った。清廉で有能な官僚として知られ、元好問とも親しく交わった。詩文詞曲にすぐれ、とくに散曲に特色がある。作品には自然風景、男女の情、宴遊生活を詠んだものが多く、言葉は清麗で華やかである。明代の朱権はその曲を「花柳芳妍の如し」と評した。