元曲
双鸳鸯 · 柳圈辞
王恽
暖烟飘,
绿杨桥,
旋结柔圈折细条。
都把发春闲懊恼,
碧波深处一时抛。
翻訳
暖かな春の霞が漂い、緑の柳に包まれた橋がある。人々は細い柳の枝を折り、すぐに柔らかな輪を結ぶ。春に生まれる何とはない憂いや悩みを、すべて一度に、碧い波の深みに投げ捨てる。
解説
この曲は、春の日に水辺で柳の輪を作り、それを水に投げて愁いを送る民俗的な情景を描いている。短い作品だが、春の空気と人々の動作がよく出ている。 「暖煙飄,緑楊橋」は、春の景色を簡潔に示す。暖かな霞が漂い、橋の周囲には緑の柳がある。冷たい冬が去り、柔らかい春の気配が満ちている。 「旋結柔圈折細條」は、人々が柳の細い枝を折り、すぐに輪を作る様子である。「旋」という字によって、動作の軽やかさが出ている。これは文人だけの雅な遊びというより、春の水辺の民俗的な遊びに近い。 「都把發春閑懊惱」は、春に触発されて生まれる何となく落ち着かない心、理由のはっきりしない悩みを指す。春は楽しい季節であると同時に、人を物思いに誘う季節でもある。 最後の「碧波深處一時拋」は、その愁いを柳の輪とともに水へ投げる場面である。水に投げることには、祓い清める意味も感じられる。古い悩みや不吉なものを水に流し、春を新しく迎えるのである。 この曲の魅力は、愁いを重く扱わないところにある。春の小さな遊びの中で、心の悩みを軽く水へ流す。そこに元曲らしい生活感と明るさがある。
作者紹介
王惲は元代の文学者・政治家で、字は仲謀、号は秋澗。衛州汲県の人。元世祖・元成宗の時代に仕え、翰林修撰、監察御史、翰林学士などを歴任した。人柄は方正で、政務に勤め、文章と学問にもすぐれていた。著作に『秋澗先生大全文集』がある。詩文・詞曲に才能を示し、元初の重要な文人散曲家の一人である。その散曲は文人的な品格を持ちながら、民俗生活や自然景物も清新に取り入れている。