元曲
人月圆 · 卜居外家东园(一)
元好问
重冈已隔红尘断,
村落更年丰。
移居要就,
窗中远岫,
舍后长松。
十年种木,
一年种谷,
都付儿童。
老夫惟有,
醒来明月,
醉后清风。
翻訳
重なる山々は、すでに俗世の塵を隔ててしまい、村里はまた豊作の年を迎えている。ここへ移り住んだのは、窓から遠い山を眺め、家の後ろに高い松を置きたかったからだ。十年かけて育つ木も、一年で実る穀物も、すべて子どもたちに任せておこう。老いた私にあるものは、目覚めた時の明るい月と、酔った後の清らかな風だけである。
解説
この曲は、元好問が晩年に静かな住まいを選び、世俗から離れて暮らそうとする心境を詠んだものである。「卜居」とは住む場所を選ぶことであり、ここでは単なる引っ越しではなく、人生の後半をどのように過ごすかという選択を意味している。 冒頭の「重岡已隔紅塵断」は、山々が俗世を遮っていることを示す。政治、人事、名利から離れた場所である。続く「村落更年豊」は、その場所が寂しいだけではなく、生活の安定もあることを表している。 「窓中遠岫,舍後長松」は、文人が理想とする住まいの姿である。窓からは遠い山が見え、家の後ろには長い松がある。これは豪華さではなく、清雅さを求める感覚である。 「十年種木,一年種穀,都付児童」では、生活上の実務を後の世代に任せる姿勢が見える。木を植えることは長期の営みであり、穀物を植えることは一年の生計である。しかし作者はそれを子どもたちに任せ、自分は世事から退こうとしている。 最後の「醒来明月,酔後清風」は、この作品の中心である。明月と清風は、所有するものではなく、ただそこにある自然の恵みである。作者は財産や名誉ではなく、目覚めた時の月、酔った後の風を自分のものとしている。 この曲には激しい悲しみや怒りはない。しかし、深い世の中への距離感がある。人生の多くを経験した後、元好問が最後に求めたのは、清風明月とともにある簡素で自由な生活だった。
作者紹介
元好問は金末元初の文学者・史学者で、字は裕之、号は遺山。太原秀容の人。金代文学を代表する重要な人物であり、詩・詞・曲・散文にすぐれた。金の滅亡後は、金代の文学と文献を保存することに力を尽くし、『中州集』を編纂した。作品には故国への思い、歴史の興亡への感慨が多く、晩年には山水や隠居生活を詠んだものもある。その文風は沈鬱で深く、歴史意識と感情の厚みを兼ね備えている。