元曲
沉醉东风·渔夫
白朴
黄芦岸白蘋渡口,
绿杨堤红蓼滩头。
虽无刎颈交,
却有忘机友。
点秋江白鹭沙鸥。
傲杀人间万户侯,
不识字烟波钓叟。
翻訳
黄の芦は岸に生え、白い浮草は渡し場に漂う。緑の柳は堤に垂れ、赤い蓼は浅瀬に咲いている。命をともにするほどの友はなくとも、世の機心を忘れた友はいる。秋の川には白鷺と沙鷗が点々としている。煙る水辺の釣り翁は、文字を知らなくとも、人間世界の高官たちを見下ろすほどの自在さを持っている。
解説
この曲は漁夫を詠みながら、実際には白朴が理想とした隠逸の姿を描いている。冒頭では黄芦、白蘋、緑楊、紅蓼という色彩が置かれ、秋の水辺が鮮やかに立ち上がる。しかしその明るさは派手ではなく、澄んだ静けさを持つ。「刎頸の交」は人間社会の強い友情であるが、「忘機の友」は利害や計算を離れた交わりである。ここでは白鷺や沙鷗、秋江そのものも友として感じられる。最後の「不識字」は無知のしるしではなく、世俗の知と功名を超えた自由の象徴である。