元曲
拨不断·酒杯深(一)
马致远
酒杯深,故人心,
相逢且莫推辞饮。
君若歌时我慢斟,
屈原清死由他恁。
醉和醒争甚?
翻訳
酒杯は深く満たそう、旧友の心もまた深い。 せっかく会えたのだから、酒を辞退してはいけない。 君が歌うなら、私はゆっくり酒を注ごう。 屈原が清らかなまま死んだのは、彼の道としておけばよい。 酔うことと醒めることに、何を争う必要があるだろう。
解説
この曲は酒を勧める歌のようでありながら、実は「醒めていること」と「世を避けること」の意味を問うている。屈原は清廉と不屈の象徴である。馬致遠はそれを否定するのではなく、乱世に生きる者が常にその道を選べるのかと問い直す。旧友との再会、深い杯、ゆっくり注ぐ酒は、功名よりも確かな慰めである。「醉和醒争甚」は、達観であると同時に疲労でもある。