元曲
拨不断·布衣中(二)
马致远
布衣中,问英雄,
王图霸业成何用!
禾黍高低六代宫,
楸梧远近千官冢。
一场恶梦。
翻訳
布衣の民の中から、英雄たちに問う。 王業や覇業を成し遂げたところで、結局何の役に立つのか。 六朝の宮殿には、今や高低の黍が生い茂り、 遠近の楸や梧の下には、幾千の官人の墓がある。 すべては一場の悪夢にすぎない。
解説
この曲は英雄を讃えるのではなく、布衣の立場から英雄に問いかける。王業や覇業は、歴史の後に何を残したのか。六朝の宮殿は黍の生える荒地となり、多くの官人は木の下の墓に眠る。「一場悪夢」という結句は、功名の華やかさを一瞬で空虚へと変える。馬致遠の懐古曲の中でも、特に冷徹な歴史意識をもつ作品である。