唐詩

忆江南

Bai Juyi

Jiāngnán hǎo, fēngjǐng jiù céng ān.

江南好,风景旧曾谙。

Rì chū jiāng huā hóng shèng huǒ, chūn lái jiāng shuǐ lǜ rú lán.

日出江花红胜火,春来江水绿如蓝。

Néng bù yì Jiāngnán?

能不忆江南?


翻訳

江南はすばらしい。その風景は、昔からよく知っている。日が昇ると、川辺の花は火よりも赤く輝く。春が来ると、川の水は藍で染めたように青緑に澄む。こんな江南を、どうして思い出さずにいられようか。

解説

この詞は、白居易が晩年に江南を思い出して作った代表的な小令である。短い作品だが、江南の春を語る時、もっともよく思い浮かべられる名句の一つである。冒頭の「江南好」は、非常に率直である。白居易は遠回しに描写するのではなく、まず江南はよい、と言い切る。続く「風景旧曾諳」によって、その評価が実体験に基づくものであることが分かる。彼は杭州刺史、蘇州刺史を務め、江南の風景と暮らしをよく知っていた。「日出江花紅勝火,春来江水緑如藍」は、江南の春を赤と緑の鮮やかな色で描いた名句である。朝日を受けた川辺の花は火よりも赤く、春の川水は藍で染めたように青緑である。花と水、陸と川、熱い赤と澄んだ緑が対になって、江南の明るい春景を作っている。ここでいう「藍」は、藍草から取る染料のことである。つまり「緑如藍」は、ただ青いというより、染め上げたように深く鮮やかな青緑を表している。最後の「能不憶江南」は反問である。これほど美しい江南を、どうして思い出さずにいられようか、という意味である。強い悲しみではなく、明るく懐かしい愛着が感じられる。この詞の魅力は、単純さの中の強さにある。複雑な典故も長い叙述もなく、わずかな言葉で江南の色、春、記憶、愛着をすべて表している。

作者紹介

白居易は唐代の代表的詩人で、字は楽天、号は香山居士。元稹とともに新楽府運動を進め、分かりやすく社会に関わる詩を重視した。詩の題材は広く、民生を詠む作品、長編叙事詩、山水詩、閑適詩、回想の詩など多彩である。杭州刺史、蘇州刺史を務めた経験から、江南の風物に深い愛着を持ち、多くの江南詩を残した。『憶江南』は、その江南への懐かしさを最も簡潔に表した名作である。