唐詩

杳杳寒山道

Yǎo yǎo Hánshān dào

寒山

Hánshān

yǎo yǎo Hánshān dào,

杳杳寒山道,

luò luò lěng jiàn bīn.

落落冷涧滨。

jiū jiū cháng yǒu niǎo,

啾啾常有鸟,

jì jì gèng wú rén.

寂寂更无人。

xī xī fēng chuī miàn,

淅淅风吹面,

fēn fēn xuě jī shēn.

纷纷雪积身。

zhāo zhāo bù jiàn rì,

朝朝不见日,

suì suì bù zhī chūn.

岁岁不知春。


翻訳

寒山へ続く道は、はるかに深く遠い。 冷たい谷川のほとりは、ひっそりとして人気がない。 ただ鳥の声だけが、ちゅうちゅうと聞こえ、 人の姿はなく、静けさはいっそう深い。 細かな風が顔を吹き、 降りしきる雪が身に積もる。 朝ごとに太陽は見えず、 年ごとに春の訪れも知らない。

解説

寒山の詩は、山中の寒さ、孤絶、出世的な感覚を特徴とする。『杳杳寒山道』では、壮大な景色ではなく、深く遠い道と冷たい谷が描かれる。「杳杳」は空間の遠さを示すだけでなく、俗世から離れていく心の距離も感じさせる。鳥の声はあるが人はいない。風が顔を吹き、雪が身に積もる。叠字の連続によって、音、寒さ、静けさが身体的に伝わってくる。結びの「朝朝不見日,歳歳不知春」は、一時の寒さではなく、長く光と春から隔てられたような時間を表す。荒涼としながらも、そこには世俗を離れた清澄さがある。寒山は実在の山であると同時に、孤独と覚醒の象徴でもある。

作者紹介

寒山は唐代の隠逸詩僧とされる人物で、生涯には不明な点が多い。天台山の寒巌付近に隠棲したと伝えられ、拾得や豊干とともに語られることが多い。寒山詩は素朴で自由な言葉を用い、山林、貧寒、世俗批判、禅的な悟りを題材とする。中国だけでなく、日本や西洋でも広く読まれ、孤独と反俗の精神を象徴する詩人として知られる。本作はその幽冷な世界をよく示している。