唐詩
晚春
Han Yu
草树知春不久归,百般红紫斗芳菲。
杨花榆荚无才思,惟解漫天作雪飞。
翻訳
草や木は、春がまもなく去ってしまうことを知っている。だから赤や紫のさまざまな花を咲かせ、競うように最後の美しさを見せている。楊の花や楡の実には、才気ある趣向などないようだ。ただ空いっぱいに雪のように舞うことだけを知っている。
解説
この詩は、晩春の景色を描いた作品である。春の終わりというと、寂しさや惜春の情を詠むことが多いが、韓愈はここで、むしろにぎやかで活気のある春の終わりを描いている。「草樹知春不久帰」は、草木を人のように表現している。草や木は、春がもうすぐ去ることを知っているかのようである。だから「百般紅紫斗芳菲」、赤や紫の花々が競い合うように咲き誇る。「斗」という字には、ただ咲くのではなく、互いに美しさを争うような勢いがある。後半の「楊花楡荚無才思」は、少しユーモラスな表現である。楊花や楡荚は、鮮やかな色や立派な花の形を持たないため、詩人はそれらを「才思がない」と言う。しかしこれは本気の批判ではなく、軽い冗談である。「惟解漫天作雪飛」では、それらが空いっぱいに雪のように飛ぶ様子が描かれる。色鮮やかな花とは違うが、楊花と楡荚もまた、自分たちなりの方法で春の終わりを飾っている。この詩の魅力は、春の終わりを暗く描かないところにある。花は色で競い、楊花と楡荚は雪のように飛ぶ。すべての草木が、それぞれの力で春に参加している。その明るさと軽い諧謔が、韓愈らしい。
作者紹介
韓愈は唐代の文学者、思想家、詩人で、字は退之。河陽の人で、郡望が昌黎であったため「韓昌黎」とも呼ばれる。唐宋八大家の第一に数えられ、古文運動の中心人物として、先秦・両漢の散文精神を重んじ、華美な駢文に反対した。詩風は力強く奇抜で、新しい発想に富む。『晩春』は、晩春の草木を擬人化し、軽いユーモアを交えて描いた小品である。