唐詩
回乡偶书
少小离家老大回,
乡音无改鬓毛衰。
儿童相见不相识,
笑问客从何处来。
翻訳
若いころに故郷を離れ、年老いてからようやく帰ってきた。故郷のなまりは変わっていないが、鬢の毛はすでに薄く白くなっている。村の子どもたちは私を見ても誰だか分からず、笑いながら、この客人はどこから来たのかと尋ねる。
解説
『回郷偶書』は帰郷の詩であるが、感情を大きく誇張しない。むしろ、非常に素朴な場面の中に、時間の残酷さを静かに浮かび上がらせている。「少小」と「老大」、「郷音無改」と「鬢毛衰」は、変わらないものと変わってしまったものを対照させる表現である。詩人の声には故郷が残っている。しかし、その姿はすでに老いを帯びている。最後に子どもたちが彼を知らず、「客はどこから来たのか」と笑って尋ねる。この一問によって、詩人は故郷に戻りながらも、故郷の中で客人になってしまったことを知る。詩の悲しみは大げさではないが、だからこそ深い。
作者紹介
賀知章は唐代の詩人・書家で、字は季真。越州永興の人である。官僚としても活躍し、晩年には「四明狂客」と号した。李白らとも交わり、その人柄は洒脱で闊達であったと伝えられる。現存する詩は多くないが、言葉は平明で自然であり、短い詩の中に深い人生感を込めることに優れている。『回郷偶書』はその代表作であり、帰郷の一場面から、歳月と故郷との距離を鮮やかに描き出している。