唐詩
杭州春望
Bai Juyi
望海楼明照曙霞,护江堤白踏晴沙。
涛声夜入伍员庙,柳色春藏苏小家。
红袖织绫夸柿蒂,青旗沽酒趁梨花。
谁开湖寺西南路,草绿裙腰一道斜。
翻訳
望海楼は明るく、朝焼けの光に照らされている。護江堤は白く、人々は晴れた日の砂道を踏んで歩いている。夜になると、潮の音は伍員の廟へと入り込む。春の柳の色は、蘇小小の旧居をやわらかく隠している。紅い袖の女たちは美しい綾を織り、柿の蔕のような文様を誇っている。青い酒旗を掲げた店は、梨の花の季節に合わせて酒を売っている。いったい誰が、湖畔の寺の西南へ続く道を開いたのだろう。草の緑は、女の裙の腰帯のように、斜めに一筋続いている。
解説
この詩は、春の杭州を遠く眺めた作品である。前の二首が西湖そのものに重点を置いていたのに対し、この詩では杭州の町、銭塘江、西湖、寺、古跡、職人、市井の賑わいが一つの画面に収められている。冒頭の「望海楼明照曙霞」は、朝焼けの中で望海楼が明るく照らされる情景である。「護江堤白踏晴沙」は、晴れた日の白い堤と砂道を歩く人々を描く。明るく開けた春の朝の空気がある。次の二句では、杭州の歴史と伝説が現れる。「涛声夜入伍員廟」の伍員は伍子胥で、銭塘潮の伝説とも関わる人物である。夜の潮音が廟に入り込むという表現によって、自然の力と歴史の記憶が重なる。「柳色春蔵蘇小家」は、蘇小小の旧居を春の柳が包むという句で、杭州の柔らかく艶やかな文化的記憶を示している。「紅袖織綾誇柿蒂」は、絹織物を織る女性たちの姿を描く。杭州の手工業と都市生活がここに入ってくる。「青旗沽酒趁梨花」では、梨の花の季節に酒を売る店が描かれ、春の市井の楽しさが表れる。最後の「草緑裙腰一道斜」は、とても美しい比喩である。湖畔の寺へ続く小道の緑を、女の裙の腰帯にたとえている。道そのものが春の衣装の一部のように見える。この詩の魅力は、杭州を単なる風景ではなく、生きた都市として描いている点にある。そこには朝霞、堤、潮、古跡、柳、織物、酒、梨花、湖寺の道があり、自然と歴史と生活が一体になっている。
作者紹介
白居易は唐代の代表的詩人で、字は楽天、号は香山居士。元稹とともに新楽府運動を進め、社会や民生に関わる詩を分かりやすい言葉で書くことを重視した。一方で、山水、閑適、友情、日常生活を詠んだ作品にも優れている。杭州刺史を務め、西湖と杭州の風物に深い愛着を持ち、多くの杭州詩を残した。『杭州春望』は、杭州の自然、歴史、市民生活をまとめて描いた代表的な作品である。