唐詩
过酒家(节选)
对酒但知饮,逢人莫强牵。
倚炉便得睡,横瓮足堪眠。
翻訳
酒を前にすれば、ただ飲むことだけを知っていればよい。人に会っても、無理に引きとめて付き合う必要はない。 酒炉にもたれればそのまま眠ることができ、甕のそばに横たわれば十分に安らかに眠れる。
解説
『過酒家』のこの節は、酒をめぐる放達な心境を描いている。複雑な物語はなく、酒、炉、甕といった日常的なものだけが現れる。そこから、世俗の拘束を離れた詩人の姿が浮かび上がる。 「対酒但知飲」は非常に率直な一句である。酒を前にすれば、ただ飲む。それ以上の理屈も儀礼も必要ない。「逢人莫強牽」では、人に会っても無理に引きとめたり、付き合いを強いたりしないと語る。ここには、社交への疲れと、自然なままでいたいという願いがある。 「倚炉便得睡,横甕足堪眠」は、その放達をさらに具体化する。炉にもたれて眠り、甕のそばで横になることができる。外見や体裁にこだわらず、ただ自分の心身に従う姿である。 王績は酒と隠逸の詩人として知られ、陶淵明に通じる疎放な気質を持つ。この詩は平易な言葉で、世俗に引かれない自由を、きわめて素朴に表している。
作者紹介
王績は隋末唐初の詩人で、字は無功、号は東皋子。酒を愛し、隠逸を好んだ人物として知られる。詩風は素朴で自然であり、陶淵明以来の田園隠逸の伝統を受け継いでいる。華麗な修辞よりも真率な感情を重んじ、唐詩形成期において独自の位置を占める。代表作に『野望』があり、『過酒家』にはその任真で疎放な気質がよく表れている。