唐詩
逢雪宿芙蓉山主人
刘长卿
日暮苍山远,
天寒白屋贫。
柴门闻犬吠,
风雪夜归人。
翻訳
日暮れとなり、青黒い山々はいっそう遠く見える。 空は寒く、白い粗末な家は貧しさを帯びている。 柴の門のあたりで犬の吠える声が聞こえる。 風雪の夜、誰かが帰ってきたのだ。
解説
『逢雪宿芙蓉山主人』は、わずか四句で寒夜の旅情と宿りの気配を描いた五言絶句である。前半では、暮色、蒼い山、寒空、白い粗末な家が置かれ、冷たく遠い空間が生まれる。「蒼山遠」は山の距離だけでなく、旅人の孤独をも感じさせる。「白屋貧」は、家の粗末さと清貧を一語で示す。後半では視覚から聴覚へ移り、柴門の犬の吠え声が静寂を破る。結句の「風雪夜帰人」は、帰ってくる人が誰かを明かさない。そのため、かえって物語の余白が広がる。冷たい風雪の中に、人の帰る気配と宿の温もりが静かに浮かぶ作品である。
作者紹介
劉長卿は唐代の詩人で、字は文房。官途は不遇で、たびたび左遷を経験した。旅情、送別、山水、失意を詠む詩が多く、清淡で幽遠な作風を特徴とする。五言詩に優れ、「五言長城」と称された。『逢雪宿芙蓉山主人』は、簡潔な言葉で寒夜の旅と人の気配を描く代表的な作品である。