宋詞
鹧鸪天·林断山明竹隐墙
Su Shi
林断山明竹隐墙。
乱蝉衰草小池塘。
翻空白鸟时时见,
照水红蕖细细香。
村舍外,古城旁。
杖藜徐步转斜阳。
殷勤昨夜三更雨,
又得浮生一日凉。
翻訳
林が途切れるところで、山は明るく見え、竹の奥には、家の塀がかすかに隠れている。乱れた蝉の声が、衰えかけた草の中から聞こえ、そのそばには小さな池がある。白い鳥は、空をひるがえって時おり姿を見せ、赤い蓮は水に映りながら、ほのかな香りを漂わせている。村の家々の外、古い城跡のそばを、私は藜の杖をつきながら、ゆっくりと歩き、斜めに傾く夕日の中をめぐっていく。昨夜、三更に降った雨は、なんとも親切だった。そのおかげで、このはかない人生の中で、また一日、涼しさを得ることができた。
解説
この詞は、蘇軾が黄州にいた時期の田園散策を描いた作品である。夏の日の雨上がりの風景を写しながら、その奥には、失意の中でも自然から小さな慰めを受け取る蘇軾らしい心がある。前半は、遠景から近景へと進む。「林断山明竹隠牆」では、林の切れ目に明るい山が見え、竹の奥に人家の塀が隠れている。「乱蝉衰草小池塘」は、夏の終わりに近い気配を感じさせる。「翻空白鳥時時見,照水紅蕖細細香」は美しい対句で、白い鳥は空に翻り、赤い蓮は水に映る。後半では、詞人自身が現れる。「村舍外,古城旁」は生活感と歴史感を重ね、「杖藜徐歩転斜陽」は、杖をついてゆっくり歩く姿である。最後の「殷勤昨夜三更雨,又得浮生一日涼」がこの詞の中心である。昨夜の雨を「殷勤」と呼ぶことで、雨が人のように優しく、暑さに苦しむ自分を気遣ってくれたかのように感じられる。その中で「一日涼」を得たことを喜ぶところに、蘇軾の強さがある。
作者紹介
蘇軾は北宋の文学者、政治家、書画家で、字は子瞻、号は東坡居士。眉州眉山の人。「唐宋八大家」の一人であり、宋詞を大きく発展させた代表的な人物である。生涯に何度も左遷を経験し、とくに黄州での生活は彼の文学と人生観に大きな影響を与えた。彼は詞の題材を広げ、歴史、山水、人生、農村、旅、日常の感覚まで自由に詠み込んだ。豪放で大きな境地を持つ一方、清新で細やかな観察にも優れている。