宋詞
昭君怨·咏荷上雨
Yang Wanli
午梦扁舟花底。
香满西湖烟水。
急雨打篷声。
梦初惊。
却是池荷跳雨。
散了真珠还聚。
聚作水银窝。
泻清波。
翻訳
昼寝の夢の中で、私は小舟に乗り、蓮の花の奥に浮かんでいた。香りは、二つの湖の煙る水面いっぱいに満ちている。突然、激しい雨が船の屋根を打つ音がして、夢からふと驚き覚めた。けれど、それは池の蓮の葉の上で、雨粒が跳ねている音だった。散った真珠のような雨粒は、またすぐに集まってくる。集まって水銀のような丸い溜まりとなり、やがて清らかな波の中へこぼれ落ちていく。
解説
この詞は、蓮の葉に降る雨を詠んだ作品である。ただし、最初から雨と蓮を描くのではなく、昼寝の夢から始まり、雨音によって目覚め、現実の蓮の葉へと移っていく構成になっている。前半では、夢の中の舟遊びが描かれる。「午夢扁舟花底」は、昼寝の夢の中で小舟が蓮の花の奥に漂っている情景である。「香満両湖煙水」は、蓮の香りと水辺の霞んだ空気を一体にして、夏の湖の清らかな雰囲気を作っている。「急雨打篷声,夢初驚」で場面が変わる。夢の中では、雨が船の屋根を打つ音に聞こえた。しかし目覚めてみると、それは池の蓮の葉に雨が落ちる音だった。この夢と現実の重なりが、この詞の巧みなところである。後半の「池荷跳雨」が非常に生きている。雨粒は蓮の葉の上で跳ね、転がり、散ってはまた集まる。「真珠」や「水銀」という比喩によって、雨粒の丸さ、輝き、流動感が鮮やかに表されている。最後の「瀉清波」は、集まった水が一気に池へ流れ落ちる瞬間である。楊万里らしく、日常の自然現象を細かく観察し、その中の動きと面白さを軽やかに捉えた一首である。
作者紹介
楊万里は南宋の詩人で、字は廷秀、号は誠斎。吉州吉水の人。陸游、范成大、尤袤とともに「南宋四大家」と称される。彼の詩風は「誠斎体」と呼ばれ、自然で明るい言葉、鋭い観察、日常の中の新鮮な発見を特色とする。蓮、川、山、子ども、虫や鳥など、身近なものの細かな動きを生き生きと描くことに優れている。この詞にも、彼の清新で機敏な自然観察がよく表れている。