宋詞
行香子·冬思
Su Shi
携手江村,梅雪飘裙。
情何限、处处消魂。
故人不见,旧曲重闻。
向望湖楼,孤山寺,涌金门。
寻常行处,题诗千首。
绣罗衫、与拂红尘。
别来相忆,知是何人。
有湖中月,江边柳,陇头云。
翻訳
かつて手を取り合い、川辺の村を歩いた。梅の花と雪が、衣の裾に舞い落ちていた。その情はどれほど深かったことか。行く先々で、心は揺さぶられた。今はもう、あの人の姿は見えない。けれど昔の曲だけが、また耳に響いてくる。望湖楼を思い、孤山寺を思い、涌金門を思う。いつも一緒に歩いた場所には、数えきれないほど詩を書き残した。刺繍のある薄絹の衣についた塵を、私はそっと払ってあげたこともあった。別れてから、互いに思い合っているのか。それを本当に知る者は誰だろう。ただ湖の月、川辺の柳、山道の雲だけが、昔の思いを呼び起こしている。
解説
この詞は「冬思」と題されているが、中心にあるのは冬そのものではなく、冬の梅、雪、旧地、旧曲を通してよみがえる恋の記憶である。冒頭の「携手江村,梅雪飄裙」は、二人で手を取り合って川辺の村を歩いた過去を描く。梅と雪が衣に落ちる情景は美しいが、その白さと冷たさには、過ぎ去った時間の寂しさも含まれている。「故人不見,旧曲重聞」では、過去と現在の落差がはっきり現れる。望湖楼、孤山寺、涌金門は、西湖周辺の地名であり、二人で歩いた記憶の目印である。後半の「繡羅衫、与拂紅塵」は特に繊細である。相手の衣についた塵を払うという小さな動作に、親密な記憶が凝縮されている。結びの「湖中月,江辺柳,隴頭雲」は、離別の情を呼び起こす自然の象徴である。人は去り、思いは確かめようがない。しかし月、柳、雲だけが、昔と今をつないでいる。
作者紹介
蘇軾は北宋の文学者、政治家、書画家で、字は子瞻、号は東坡居士。眉州眉山の人。「唐宋八大家」の一人であり、宋詞を大きく発展させた重要な人物である。彼は詞の題材を広げ、歴史、人生、山水、政治、農村、旅、日常、恋情まで自由に詠み込んだ。豪放で雄大な作品で知られる一方、この詞のように、繊細な追憶と別離の情を描くことにも優れている。