宋詞
诉衷情·花前月下暂相逢
花前月下暂相逢,苦恨阻从容。
何况酒醒梦断,花谢月朦胧。
花不尽,月无穷,两心同。
此时愿作,杨柳千丝,绊惹春风。
翻訳
花の前、月の下で、つかの間だけ逢うことができた。しかし、さまざまな隔たりのために、ゆっくり共にいることはできず、それが苦しい。まして酒が醒め、夢が断たれれば、花は散り、月も朧になる。花は尽きず、月は果てしなく、二つの心は同じである。今はただ、千筋の柳となって、春風をからめ取り、行かせまいと願うばかりである。
解説
この詞は、短い逢瀬の後に残る名残惜しさを描く。「花前月下」は美しい出会いの場面であるが、「暫相逢」という三字によって、その美しさはすぐに長く続かないものとなる。愛し合う者がゆっくり共にいられない苦しみが、「苦恨阻従容」にこめられている。続く「酒醒夢断」は、歓びの後の空虚を示す。花は散り、月は朧となり、景物もまた心に従って暗くなる。下片は願望の形をとるが、そこには深い無力感がある。花と月は尽きないように見え、二人の心も同じである。しかし逢瀬は短い。だからこそ、柳の千筋となって春風を引き止めたいと願う。春風は時の流れであり、別れそのものでもある。柔らかな景物に細やかな情を託す張先らしさがよく表れた作品である。
作者紹介
張先は字を子野という北宋の詞人で、烏程の人。安陸知県などを務め、晩年は湖州・杭州のあたりに退いた。小令と慢詞にすぐれ、光、影、帘幕、柳、月色など柔らかな景物を通して微妙な情を描くことを得意とした。「影」の字を巧みに用いたため「張三影」と称された。彼の詞は、晏殊・欧陽修の清雅な士大夫詞と、柳永に近い都市的歌唱文化との間に位置している。