宋詞
浣溪沙·簌簌衣巾落枣花
Su Shi
簌簌衣巾落枣花,村南村北响缲车。
牛衣古柳卖黄瓜。
酒困路长惟欲睡,日高人渴漫思茶。
敲门试问野人家。
翻訳
さらさらと、棗の花が衣や頭巾に落ちてくる。村の南でも北でも、糸を取る車の音が響いている。古い柳の下では、粗末な衣をまとった人が黄瓜を売っている。酒のせいで眠く、道のりも長く、ただ眠りたいばかりだ。日が高くなり、喉も渇いてきて、なんとなく茶が飲みたくなる。そこで門を叩き、この田舎の家に頼んでみようとする。
解説
この詞は、蘇軾が田舎道を歩く途中に見た風景と、自分自身の感覚を描いた作品である。大きな思想や華やかな情景ではなく、初夏の村の日常を、非常に自然な言葉で写している。前半では、棗の花、糸車、古柳、黄瓜売りが描かれる。「簌簌衣巾落棗花」は、細かな棗の花が衣に落ちる音と感触を同時に伝えている。後半では、旅人である詞人自身の体の感覚が前に出る。酒に酔って眠く、道は長く、日が高くなると喉が渇く。だから、どこかの農家で茶をもらえないかと門を叩いてみる。この詞の魅力は、何気ない日常をそのまま詩にしているところにある。蘇軾は村の生活を遠くから鑑賞しているのではなく、その中を歩き、花を受け、音を聞き、渇きを覚え、茶を求めている。
作者紹介
蘇軾は北宋の文学者、政治家、書画家で、字は子瞻、号は東坡居士。眉州眉山の人。「唐宋八大家」の一人であり、宋詞を大きく発展させた代表的な人物である。彼は詞の題材を広げ、宴席や恋情だけでなく、歴史、人生、山水、政治、農村、旅、日常生活まで自由に詠み込んだ。