宋詞
点绛唇·桃源
Qin Guan
醉漾轻舟
信流引到花深处
尘缘相误
无计花间住
烟水茫茫
千里斜阳暮
山无数
乱红如雨
不记来时路
翻訳
酔いにまかせて軽い小舟を揺らし、流れのままに、花の深く咲くところへ導かれていった。けれども、俗世の縁に妨げられ、花のあいだに住み続けるすべはない。霞む水は果てしなく広がり、千里のかなたで夕日が暮れてゆく。山々は幾重にも連なり、散る花は雨のように乱れ、私はもう、来た道を覚えていない。
解説
この詞は、「桃源」のイメージを借りて、理想世界に一時的に触れながらも留まれない哀しみを描く。前半は桃源への「入」——酔って小舟を漂わせ、流れに任せて花の奥へ進む。陶淵明の『桃花源記』を思わせる偶然の到達である。しかし「塵縁相誤」によって留まれない。後半は桃源の「喪失」——霞む水、千里の夕日、空間は広がり、情緒は沈む。最後の「山無數、亂紅如雨、不記來時路」が最も余韻を残す:幾重もの山々、雨のように散る花、来た道は消えた。単なる道迷いではなく、かつて美に触れながら二度と戻れない精神的喪失を表している。秦観らしい、柔らかく静かな悲しみの作品である。
作者紹介
秦観(1049–1100)、字は少游、また太虚、号は淮海居士。北宋の詞人で、蘇軾門下の「蘇門四学士」の一人。詞は婉約で繊細、清らかな情景の中に深い哀感を含む。政治的には不遇で、晩年にはたびたび左遷されたため、作品には漂泊感、人生のはかなさ、失意の情が色濃く表れている。代表作に『鵲橋仙・繊雲弄巧』『満庭芳・山抹微雲』『踏莎行・郴州旅舎』などがある。