宋詞
生查子·药名闺情
相思意已深,白纸书难足。
字字苦参商,故要檀郎读。
分明记得约当归,远至樱桃熟。
何事菊花时,犹未回乡曲?
翻訳
相思の思いはすでに深く、白い便箋だけでは書き尽くすことができない。一字一字に別れの苦しみがこもっているからこそ、愛しい人にぜひ細かく読んでほしい。 はっきり覚えている。あの時、あなたは帰ると約束した。それなのに、桜桃が熟すころになっても、あなたは遠くにいた。今はもう菊の咲く季節である。いったい何のために、まだ故郷へ帰ってこないのだろうか。
解説
《生查子·薬名閨情》は、薬名を巧みに織り込んだ閨情詞である。「相思」「白紙」「苦参」「当帰」「遠志」「桜桃」「菊花」などは、普通の語として読めると同時に薬名としても響く。しかしこの作品のよさは、技巧だけではない。薬名の遊びが、かえって女性の相思の深さを自然に際立たせている。 上片では、女性が遠くにいる恋人へ手紙を書く。白い紙では思いを尽くせず、一字一字が別れの苦しみを含むという表現には、手紙に託された切実さがある。下片では、待つ時間の長さが季節の移り変わりで示される。帰る約束は明らかだったのに、桜桃が熟し、菊の咲く秋になっても、相手は戻らない。「当帰」は薬名であると同時に「帰るべきだ」という意味を帯び、詞全体の中心的な響きとなっている。技巧と真情がよく結びついた小品である。
作者紹介
陳亞は北宋の詞人で、薬名詞を得意としたことで知られる。生涯について詳しい記録は多くないが、医薬に親しむ環境の中で育ち、薬名に通じていたと伝えられる。そのため、薬名を詞句の中へ自然に織り込むことができた。陳亞の詞は大きな気象よりも、小令の中の機知と情感に特色がある。《生查子·薬名閨情》はその代表作であり、言葉遊びと真実の相思がよく融合している。