詩経

王风·葛藟

Wáng fēng · Gé lěi

佚名

Yì míng

Mián mián gé lěi, zài hé zhī hǔ.

绵绵葛藟,在河之浒。

Zhōng yuǎn xiōng dì, wèi tā rén fù.

终远兄弟,谓他人父。

Wèi tā rén fù, yì mò wǒ gù.

谓他人父,亦莫我顾。

Mián mián gé lěi, zài hé zhī sì.

绵绵葛藟,在河之涘。

Zhōng yuǎn xiōng dì, wèi tā rén mǔ.

终远兄弟,谓他人母。

Wèi tā rén mǔ, yì mò wǒ yǒu.

谓他人母,亦莫我有。

Mián mián gé lěi, zài hé zhī chún.

绵绵葛藟,在河之漘。

Zhōng yuǎn xiōng dì, wèi tā rén kūn.

终远兄弟,谓他人昆。

Wèi tā rén kūn, yì mò wǒ wén.

谓他人昆,亦莫我闻。


翻訳

葛の蔓は長く連なり、川のほとりに生えている。私はついに兄弟から遠く離れ、他人を父と呼ばねばならない。けれど、その父と呼ぶ人も私を顧みない。葛の蔓は川辺に伸びている。私は親族から離れ、他人を母と呼ばねばならない。けれど、その母と呼ぶ人も私を受け入れない。葛の蔓は川岸に続いている。私は兄弟から離れ、他人を兄と呼ばねばならない。けれど、その兄と呼ぶ人も私の声を聞いてはくれない。

解説

《葛藟》は、親族から離れ、頼るところを失った者の苦しみを歌う。長く連なる葛の蔓は、本来なら結びつきや連続を感じさせる。しかし詩の中では、その蔓の連なりが、かえって失われた家族関係を際立たせている。三章では、他人を父と呼び、母と呼び、兄と呼ぶ。しかしその人々は、顧みず、受け入れず、声を聞いてもくれない。呼び名だけでは本当の帰属は生まれないのである。川岸を移り変わる景は、漂泊する人の歩みのようでもある。簡素な言葉の中に、家族共同体を失った孤独が深く刻まれている。

作者紹介

「王風」は『詩経・国風』の一部で、周王畿およびその周辺の歌と関わるとされる。多くは作者不詳で、先秦期の民歌や礼楽の伝統が集成されたものと考えられる。王風には、別離、役、衰えた世の憂い、個人の感情を歌う作品が多い。言葉は簡素であるが、反復と日常のイメージによって深い余韻を生んでいる。