詩経
唐风·椒聊
佚名
椒聊之实,蕃衍盈升。彼其之子,硕大无朋。椒聊且,远条且。
椒聊之实,蕃衍盈匊。彼其之子,硕大且笃。椒聊且,远条且。
翻訳
山椒の実は豊かに繁り、一升を満たすほどである。あの若者は大きく立派で、比べる者もない。山椒よ、その枝はなんと遠く伸びていることか。山椒の実は豊かに繁り、両手に満ちるほどである。あの若者は大きく、しかも厚みがあり、落ち着いている。山椒よ、その枝はなんと遠く伸びていることか。
解説
「椒聊」は、山椒の実の豊かさを起興として、人物の大きさ、健やかさ、繁栄の気配を讃える詩である。山椒は多くの実をつけ、香りが強く、枝を遠く伸ばすため、生命力や繁衍の象徴として響く。「蕃衍盈升」「蕃衍盈匊」は植物の豊かさを描くと同時に、人の勢いある生命力を暗示している。「彼其之子」は、単に身体が大きいだけでなく、厚みと頼もしさを持つ存在として歌われる。二章だけの短い詩だが、「椒聊且,遠条且」の反復が民歌らしい明るい余韻を生んでいる。
作者紹介
『詩経』の「風」は、周代各地の歌謡に由来するものが多く、個々の作者はほとんど伝わっていない。そのため、通常は「佚名」とされる。これらの詩は、民間の歌、礼俗、労働、恋愛、婚姻、怨刺、思慕、政治的感情などを伝えている。言葉は素朴でありながら、反復、リズム、イメージによって強く整えられている。作者名を持たないからこそ、そこには一人の文人ではなく、古代社会の広い集団的経験と感情の記憶が残されている。