詩経
齐风·卢令
佚名
卢令令,其人美且仁。
卢重环,其人美且鬈。
卢重鋂,其人美且偲。
翻訳
猟犬の鈴が澄んで鳴っている。その人は美しく、しかも仁厚である。犬の首には幾重もの輪飾りがかかり、その人は美しく、巻き毛もあざやかである。犬には重ねた鈴飾りがつき、その人は美しく、才気と勇ましさをそなえている。
解説
「盧令」は、短く明るい讃美の詩である。狩りの場面そのものを詳しく描くのではなく、猟犬の鈴の音や飾りを通して、狩人の姿を浮かび上がらせている。三章はほぼ同じ形で反復されるが、「仁」「鬈」「偲」と語を少しずつ変えることで、徳、容姿、才気へと讃美の焦点が広がる。犬の鈴音と華やかな飾りは、人物の美しさを引き立てる背景となる。抑制された言葉と軽やかな反復が、この詩の上品な魅力を作っている。
作者紹介
『詩経』の「風」は、周代各地の歌謡に由来するものが多く、個々の作者はほとんど伝わっていない。そのため、通常は「佚名」とされる。これらの詩は、民間の歌、礼俗、労働、恋愛、婚姻、怨刺、思慕、政治的感情などを伝えている。言葉は素朴でありながら、反復、リズム、イメージによって強く整えられている。作者名を持たないからこそ、そこには一人の文人ではなく、古代社会の広い集団的経験と感情の記憶が残されている。